今回は、20代女性の症例です。

実はこの方、小学生の頃にも当院に来てくれていた患者さんです。

しばらく来院されていませんでしたが、最近お母さんが当院に通われるようになり、そのご縁から娘さんも一緒に身体を診ることになりました。

小学生だった子が20代になって、また身体を任せてもらえる。

長く治療院をやっていると、こういう再会があるのも嬉しいですね。

・生理不順
・身体の疲れ
・凝り

でした。

医療機関では**多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)**と診断されており、生理は半年に1回程度。

身体を診ていくと、東洋医学でいう**「血虚(けっきょ)」**を考える所見があり、さらに「瘀血(おけつ)」も強くみられました。

仕事でも無意識に神経を使う方だったため、身体の状態を確認しながら、特に**「血」**を一つの大きな軸として鍼治療を始めました。

半年に1回だった生理に変化

鍼治療を始めて約2か月。

それまで半年に1回程度だった生理が来るようになりました。

ただ、一直線に整っていったわけではありません。

この半年間の治療経過の中では、生理が来ても3週間ほど出血が続く時期もありました。

そこからさらに施術を続け、現在は約1週間で生理が終わるようになっています。

生理が「来た・来ない」だけではなく、

どのくらいの間隔で来るのか。
何日間続くのか。
その時の身体はどんな状態なのか。

そこまで含めて経過を診ています。

治療途中で出てきた「抜け毛」の話

治療を続けていろいろ話をしていく中で、

「実は抜け毛もかなり気になっている」

という話が出てきました。

もともと抜け毛が多く、薄毛も気にされていたそうです。

東洋医学には、

「髪は血余(けつよ)」

という考え方があります。

髪と「血」には深い関係があると考えるため、これも頭だけの問題としてではなく、それまで診てきた身体の状態と合わせて考えました。

その後、治療を続ける中で本人が抜け毛の減少を感じるようになり、現在は新しく生えてきた短い髪も確認できています。

本人も頭を触って、

「チクチクする!髪の毛が生えてきた!」

と喜ばれています。

実は皮膚にも変化が

さらに皮膚については、最初から相談されていたわけではありません。

何気ない会話の中で、以前は胸・首・顔などにかゆみを伴う皮膚症状が出ていたことを知りました。

ところが本人によると、当院に通い始めてからは以前のような皮膚症状が出ておらず、ニキビなども出なくなったとのこと。

現在はかゆみもありません。

皮膚を目的として治療していたわけではなかったため、これは治療を続けながら話をしていく中で分かった変化でした。

生理・髪・皮膚を別々に考えない

生理不順。
抜け毛・薄毛。
皮膚症状。

一見すると、まったく違う症状に見えます。

でも東洋医学では、一人の身体に起きていることとして、共通する背景がないかを考えます。

今回、僕が大きな軸として考えてきたのが「血」です。

この方には「血虚」の所見があり、さらに血の巡りが滞る「瘀血」も強くみられました。

僕の東洋医学的な見立てでは、

血が不足する
↓
仕事などで神経を使い、さらに消耗する
↓
ストレスにより血の消耗で身体が熱へ傾き、血の不足だけではなく血の滞りも増える
↓
その影響が月経だけでなく、髪や皮膚にも現れる

こうした状態を考えながら、その時々の身体に合わせて鍼治療を組み立てています。

今回の症例は、最初から生理・髪・皮膚のすべてを治療しようとして始まったわけではありません。

生理不順や疲れ・凝りをきっかけに、一人の身体を約6か月継続して診ていく中で、髪や皮膚を含めたさまざまな変化が見えてきました。

「生理だから生理だけ」
「抜け毛だから頭だけ」
「皮膚だから皮膚だけ」

ではなく、

「なぜ、この人の身体にいろいろな症状が出ているんだろう?」

そこを考えるのが、僕が大切にしている東洋医学の診方です。

引き続き、身体全体の変化をしっかり診ながら治療を続けていきたいと思います。