今回は、吃音(きつおん)で来院されている高校生の症例です。

この方は、幼少のころから吃音が出現し、現在は会話中に言葉が出にくくなる症状が比較的強くみられています。

詳しく話を聞いていくと、症状の出方には特徴がありました。

・疲労による大きな変化はない
・動画やゲームをした後は悪化する傾向がある
・感覚的に話している時は比較的言葉が出やすい
・考えながら話そうとすると言葉が出にくい
・歌っている時や舞台で話している時は問題なく話せる

同じ「話す」という行為でも、状況によってかなり違いがあります。

最初は「肝」を中心に施術

当初は自律神経との関係なども考え、東洋医学でいう「肝」を中心に施術していました。

しかし、施術を続けながら症状をもう一度考えてみました。

話すためには「舌」を使います。

東洋医学には、

「心は舌に開竅する」

という考え方があります。

そこで、舌の働きとの関係から「心」にも着目し、施術内容を変更してみました。

施術を変えてからみられた変化

「心」を意識した施術を行ったところ、本人から

「その日の夜くらいから話しやすくなる」

という話がありました。

これは一度だけではなく、同様の施術をこれまで3~4回行い、その都度、話しやすさの変化がみられています。

さらに、パイオネックスという小さな鍼の付いたシールを貼って経過をみてもらったところ、

「貼っている間は話しやすいけれど、外れると戻る感じがする」

とのことでした。

現段階では、同じ患者さんに同様の施術を行った際、話しやすさについて一定の変化が繰り返しみられています。

東洋医学の面白いところ

もちろん、この症例だけから「吃音には心への施術が有効」と一般化することはできません。

一方で、この患者さんについては、

症状の出方を細かくみる

東洋医学的に考える

施術する場所や考え方を変える

その後の変化を確認する

ということを繰り返す中で、興味深い変化が出てきています。

「吃音だから、このツボ」

という考え方ではなく、その人の症状がどんな時に出て、どんな時には出ないのか。

そこを一つずつ確認しながら施術を組み立てることを大切にしています。

まだ、話しやすい状態がずっと続いているわけではありません。

今後は現在みられている変化をさらに細かく確認しながら、話しやすい状態をより長く維持できる施術につなげられないか、経過をみながら治療を続けていきたいと思います。